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専門はダメで得意はOK?

(※このページは2020年5月31日に更新されました)
専門はダメで得意はOKとは、弁護士業界で広く知られている業務広告に対する表記のことです。このページでは深く掘り下げてこの問題を考えます。




専門という表示は控えるのが望ましい

弁護士業界で広く知られている認識として、業務広告をする場合の表記として「専門分野はダメで、得意分野はOK」というのがあります。

具体的には「交通事故専門の〇〇法律事務所」という表記はダメで「交通事故を得意とする〇〇法律事務所」というのはOKということです。

ただし、厳密にはダメという記載はなく「専門分野という表示は控えるのが望ましい」ということですので、禁止されているわけではありません。

しかし、弁護士業界の中で、あえて専門という表記を使う弁護士は、私が弁護士専門のコンサルを始めたころにはいませんでした。




なぜ専門がダメで得意はいいのか

弁護士の業務広告の参考書的な書籍として「弁護士広告―業務広告規定の解説」があります。

この本によると、専門を名乗るからにはそれなりの客観性が担保されなければならない。ということで、専門家、専門分野という表記は控えた方がよいとされています。

同様に専門を連想させる「スペシャリスト、プロ、エキスパート」という表現も控えた方が望ましいとされています。

確かに、弁護士業界には医療業界のように専門分野ごとに医師会があったりしませんので、専門という表記を控えた方が望ましいとされる理屈はわかります。

では、なぜ得意分野という表記はよいのかというと、「得意分野」という表示は弁護士の主観的評価に過ぎないことが明らで、国民もそのように受け取るから、ということです。

私個人としてはその違いがあまりわかりませんでしたが、とにかくそういうことなので、クライアントのホームページをコンサルする際に「〇〇専門の法律事務所」というタイトルはオススメしませんでした。

そこで当時流行ったのが「離婚問題を得意とする法律事務所」というような「〇〇を得意とする法律事務所」というタイトルでした。

ただ、ホームページというのは広告媒体ですから、集客するには強いキャッチコピーが必要となります。

「〇〇を得意とする」も悪くないのですが、コンサルの私としてはどうもインパクトに欠けるように思え、得意に変わる新しいキャッチコピーを考えました。

それが「〇〇に強い弁護士」というキャッチコピーです。




強いは大丈夫?

「〇〇に強い弁護士」というキャッチコピーは、ある弁護士の新しいホームページを作っている時に思い浮かびました。

「先生は〇〇の分野は強いですか?」と何気なく質問したことがきっかけでした。

弁護士の答えは「そりゃ、〇〇をメインに弁護しているか強いよ」という答えでした。

そこで「〇〇に強い弁護士」というキャッチコピーが生まれたのです。

念のためその弁護士に「強い」を使ってよいか聞くと、強いは主観だから大丈夫だろうということでした。

弁護士会からなにか言われたら変えればいいとのことで「〇〇に強い弁護士 | ××法律事務所」というタイトルに決まりました。

「〇〇に強い××法律事務所」にしなかった理由は、一般の方がネットで検索するときは「法律事務所」という単語より「弁護士」という単語を多く使うため、弁護士という単語を入れ、タイトルの最初の方に置きたかったためです。




強いが大ヒット

〇〇に強い弁護士」のキャッチコピーの集客力は強く、大成功しました。

そしてこのキャッチコピーは、弁護士業界の特にネット集客をメインとしている法律事務所の中で大流行しました。

今でも「〇〇に強い弁護士」というキャッチコピーは多く使われています。

私が一般の方々を対象にしたアンケート調査でも下記の通り、その威力は証明されています。

質問:もし仮にあなたが交通事故被害者の賠償金増額交渉を弁護士に依頼するとした場合、以下のタイプならどの法律事務所を選びますか。2つ選んでください。
※特にあてはまるものがない場合も、以下の選択肢の中であればどの選択肢が良いかという視点で2つお選びください。

※調査日:2017年2月7日、回答者:全国の30歳以上の男女、回答数:552

※実はこの表のとおり「強い」の使い方を工夫すれば、「専門」よりも選ばれやすくなるのです。




強いに注意

強いが流行った弊害もありました。

このキャッチコピーが集客に有効だと広がると、多くの弁護士が強いを使い始めたことです。

ある弁護士検索サイトなどでは、登録されているほとんどの弁護士が「〇〇に強い弁護士」で表示されます。

もはやこうなると、誰が強くてだれがそれほど強くないのか、わからなくなってきます。

このサイトで何度も言っていることですが、ホームページは広告媒体です。

広告媒体ですから集客するための様々な工夫がされています。

キャッチコピーもそのひとつです。

キャッチコピーだけにまどわされず、法律相談の際に信頼できる弁護士かどうか、あなた自身の目で判断してください。

弁護士費用は高額になります。

弁護士選びは慎重にお願いいたします。

この記事が少しでもあなたのお役に立てれば幸いです。

弁護士費用.com を今後ともよろしくお願いいたします。

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