子どもがいる夫婦が離婚するとき、どちらの親が子どもの親権をとるかを決めなければなりません。
たとえ離婚して親権者にならなかったからといって、子どもを養う義務が免除されるわけではないのです。
親権者であってもそうでなくても、子どもの扶養義務は果たす必要があります。

養育費の金額は、基本は当事者同士の話し合いにより決まります。
しかし、話し合いで決着がつかなければ、調停、審判、訴訟などといった裁判手続きを経て養育費を決定することになります。

このような裁判手続きにより養育費の金額を決める際には、養育費算定表という算定表を参考に決めることが多いと言われています。
養育費算定表とは、子どもの年齢、扶養する子どもの人数、夫婦間の収入を考慮した上で具体的な養育費の額を決定することができる一覧表です。

養育費は、毎月決められた日に支払われます。

原則として養育費は、子どもが成人するまでの合計金額を一括で請求することはできないとされています。
なお、裁判手続きを経由して養育費の支払義務発生した場合は、調停での調停調書や、訴訟での判決書類等を根拠として、相手が支払わないときには強制執行により養育費の取り立てができます。
当事者間の話し合いにより、養育費の支払い義務と金額が決定した場合は、裁判手続きを経て離婚した場合とは違い、養育費の支払いがなくなってしまっても強制執行等の法的な手続きができず、強制的に取り立てることができません。

こうした事態を未然に防止するために、当事者間の話し合いにより養育費の金額が決定したときには、公正証書という形式にして、合意内容を書面にして残しておくことをおすすめします。

養育費の支払いは多くの場合、子どもが成人するまでの長期に及びます。
そのため、支払っている間に様々な事情により支払内容の変更がある可能性もあります。

例えば、養育費を支払っている側が支払期間中に仕事で出世し、当初の養育費の金額だけでは扶養義務を果たしているとは言えなくなるほどの高収入になった場合や、当事者の一方が再婚し、扶養すべき子どもの数が増えた場合などが考えられます。

こうした事情がある場合には、養育費を増減させることができます。
具体的には、まずは当事者間の話し合いにより変更後の金額を決定する方法があります。
話し合いで決着がつかなければ、調停にてその事情に基づいて養育費の金額を話し合うことになります。

また、養育費は、長期にわたり継続して支払われるので支払が履行されていることが非常に重要です。

調停、審判、訴訟など裁判所を通じて養育費の支払い義務が発生し、支払う金額が確定している場合には、裁判所を通じて相手に支払いをするよう命令してもらうことができます。
ただし、この方法には強制力がありません。
よって相手方から強制的に取り立てをすることはできないのです。

そこで、最終手段として強制執行手続きによる養育費の取り立てをすることができます。
裁判所経由で養育費の支払い義務が認められてる場合や、養育費に関する取り決めを記載した公正証書がある場合は、調停調書や公正証書などを根拠として、強制執行を申し立てることができます。
養育費のような、定期的かつ長期にわたり支払い義務が生じる債権の強制執行は、弁済期がまだ先の将来分であっても、相手方の給料等も将来にわたって差し押さえることができます。