債権回収の弁護士費用で注意する点

債権回収の弁護士費用、弁護士選びで問題になるのは以下の3つのパターンが多いと思います。

・裁判で勝った、もしくは和解したが相手が支払わず一円も回収できていない。しかし弁護士からは成功報酬金の支払い請求がきた。
・獲得できなかったら成功報酬金はゼロで必要ないと言われたが話が違う。
・回収はできたが弁護士費用で消えた。

ここではそれぞれのパターンに関して、債権回収の場合の弁護士費用で注意する点、弁護士選びで注意する点などをわかりやすく解説します。

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回収できなくても弁護士費用を支払わなければならないこともある

債権回収の弁護士費用でもっとも注意しなければならないのは、回収できなくても弁護士費用を支払わなければならないこともあるということです。

具体的には、裁判で債権300万円が認められ相手は支払うと約束したとします。
しかし相手はいつになっても支払ってくれません。
それなのに弁護士からは300万円の16%の48万円を成功報酬金として支払うようにと請求がきました。

金額や成功報酬額は様々ですが、こういうことが起こる場合があります。というよりこういうことで相談されることが多くあります。

一円も回収できていないのに弁護士費用を支払わなければならないのですか?という質問です。

これは依頼する際の契約によるのですが、単に成功報酬は経済的利益の16%などと書かれている場合には、裁判で判決または和解が成立すれば、一円も回収できていなくても弁護士費用を支払わざるを得ないかもしれません。

ただし、そのような委任契約の場合は、回収できなくても弁護士費用がかかることを弁護士は事前に説明していると思います。
ですからもしそのような説明がなく、一円も回収できないのに弁護士費用を請求された場合は、その弁護士が所属している弁護士会に一度相談した方がよいと思います。

多くの弁護士は裁判をすれば回収できなくても裁判で決定した額を経済的利益とし、弁護士費用がかかることを受任前に説明していると思います。
また相手がまともな会社でなければ、裁判で勝っても回収できなく、費用倒れになることも説明すると思います。
そのうえで、それでも裁判をするかどうか依頼者に確認していると思います。

ですから少し冷たく聞こえるかもしれませんが回収できそうにもない相手だと、裁判では勝てる案件だとしても相談者の利益を考えて依頼を引き受けないことがあります。

そんなことを言うと「じゃあ泣き寝入りしろってことか」と激怒する消費者もいると思いますが、実はそのように言ってくれる弁護士の方が親切だとも言えるのです。

ですから裁判して勝っても回収できない時のことも考え、裁判をするかどうかなど慎重に検討してください。
と書くと、回収できなかったら成功報酬が発生しない弁護士に依頼しよう、と思ってしまうかもしれませんが、それでも注意が必要です。

次では、回収できなかったら成功報酬は発生しない完全成功報酬だと思っていたのに話が違う、という点について解説します。




獲得できなかったら成功報酬金はゼロと言われたが

獲得できなかったら成功報酬金はゼロと言われたが話が違う。というケースの説明をします。
これには2のパターンがあります。

まず初めは「債権回収の依頼を受ける際には顧問契約を結んでいただかないと受任できない」と言われ、顧問契約をするケースです。
名目が顧問料ではなく事務処理費用だったりすることもあります。
個人の場合はそれほど多くないですが、会社契約の場合は顧問先以外は債権回収は行わない、という弁護士がいますので、必然的に顧問契約を結ぶことになります。

そうすると回収できてもできなくても毎月顧問料などの名目で費用を支払う事になります。
この状態が何か月も経つと、回収できないのに毎月顧問料だけとられている。という不満につながるのです。

ですから、回収できなかったら成功報酬金はゼロと言われても、その他の費用にも注意する必要があるのです。

二つ目はかなり多い間違いです。これは本当に間違いやすいので注意してください。
それは成功報酬は獲得できた金額の16%などと書かれている場合に起こりやすい間違いです。

「成功報酬は獲得できた金額の16%」という記述事態に問題はないのですが、これをどう解釈するかで大きな違いがでてきます。
「獲得できた=回収できた」と多くの消費者は解釈しますが、弁護士業界の場合は獲得=回収ではないのです

つまり裁判で300万円の支払い命令を獲得することができた、という場合も獲得できたと解釈するのです。
すると最初に説明した一円も回収できないのに弁護士費用の請求がきた、と同じことが起こり得る可能性がでてきます。

ですから、獲得の意味、回収の意味をきちんと確かめる必要があります
300万円すべて回収できたらそこから弁護士費用を差し引いてお金を振り込んでもらえるのか、回収できないとしても弁護士費用を支払う必要があるのかなど、獲得や回収などの意味を確認する必要があるのです。

こう考えると債権回収の弁護士費用もいろいろと複雑だということがわかったかと思います。
最後にもっとも困った例を紹介します。




債権は回収できたけれども弁護士費用で消えた

これは少し複雑ですので、具体的な例で説明します。

Aさんは、回収できない場合は成功報酬金は支払う必要がないという弁護士に、300万円の債権回収の依頼をしました。
回収金はいったん法律事務所の口座に入金され、そこから弁護士費用を引いて、残りをAさんの口座に振り込むので、回収できなかった場合はAさんは成功報酬金を支払う必要がない、という契約になっていました。

債務者との交渉の結果、全額を一括で支払うのは難しいので50万円ずつ6回の分割払いということでAさんも納得し和解が成立したとします。

一回目の支払期限がきて、きちんと一回目の支払いが法律事務所の口座に振り込まれ、そしてそこから成功報酬金300万円の16%の48万円が引かれ、残りの2万円がAさんの口座に振り込まれました。

ここまでは問題ないのですが、ところが二回目以降、相手からの支払いがありません
結局、Aさんが回収できたのは弁護士費用を差し引くと2万円だけ。

こういうパターンです。
相手に資産などがあれば差押え、強制執行なども有効でしょうが、相手に収入・資産がないと回収は難しくなります。

悪いことを考える会社はなんとか分割払いにして最初の一回だけ払って、あとはまたとぼける、というのがあります。
もちろん和解書には支払い滞ったら差押えする、延滞金がかかるなど書いてありますが、無い袖は振れないと開き直るのです。

ここまで細かく様々なケースを説明してくれる弁護士はいないと思いますが、債権回収に強い弁護士であれば、いろいろと戦略を立てて考えてくれると思います。

慎重に弁護士を選んで損の無いようにしてください。

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