(※このページは2020年5月30日に更新されました)

前々からなんとなく「医療広告ガイドライン」に比べ「弁護士の広告ガイドライン」は緩すぎると感じていましたので、厚生労働省のホームページに掲載されている「医療広告ガイドライン」を私なりにまとめ、現在の弁護士広告と比較してみました。

結論を先に言いますと医療広告はかなり厳しく規制されていました。

それに比べ現在の弁護士の広告は、規制前の美容医療の広告に近いものがあると思います。




医療に関する広告規制

医療に関する広告とは、医業、歯科医業、病院、診療所に関する広告のことを指します。

以前から医療広告には規制がありましたが、医療機関のウェブサイトにおける広告は原則規制対象とせず、平成24年9月28日付けの厚生労働省医政局長通知「医療機関ホームページガイドラインについて」に基づき、関係団体等による自主的な取組に任せられていました。

しかし、美容医療に関する相談件数が増加する中、平成29年の通常国会で成立した医療法等の一部を改正する法律により、医療機関のウェブサイト等についても、他の広告媒体と同様に規制の対象とし、虚偽又は誇大等の表示を禁止し、是正命令や罰則等の対象とすることとなりました。

つまり美容医療広告があまりにひどすぎ規制しなければダメだろう、ということになったということです。




広告規制の対象範囲

広告の定義

広告の定義は以下の2点のいずれかを満たすものとなります。

1.患者の受診等を誘引する意図があること(誘引性)
2.医業若しくは歯科医業を提供する者の氏名若しくは名称又は病院若しくは診療所の名称が特定可能であること(特定性)

実質的に広告と判断されるもの

・「これは広告ではありません。」「これは、取材に基づく記事であり、患者を誘引するものではありません。」との記述があっても、病院名等が記載されていれば広告となります。

・「医療法の広告規制のため、具体的な病院名は記載できません。」といった表示をしていても、住所、電話番号及びウェブサイトのアドレス等から病院等が特定可能であれば広告となります。

・治療法等を紹介する書籍、冊子及びウェブサイトの形態をとっていても、特定(複数の場合も含む。)の病院等の名称が記載されていたり、電話番号やウェブサイトのアドレスが記載されていることで、一般人が容易に当該病院等を特定できるものも広告となります。

・「当該治療法に関するお問い合わせは、〇〇研究会へ」などであっても、「〇〇研究会」に問い合わせると特定の医療機関(複数の場合も含む。)をあっせん等していることが認められる場合は広告となります。

つまり、誘引性または特定性があれば広告になり、今回の法律の規制の対象となるということです。

それは出版物でもそうですし、医療機関検索ポータルサイトでも対象となります。

また医療機関が別の個人や団体を介在させても対象となります。

さらにマスコミ、広告代理店、アフィリエイター、患者又は一般人等、何人も広告規制の対象とされます。

また、日本国内向けの広告であれば、外国人や海外の事業者等による広告(海外から発送されるダイレクトメールやEメール等)も規制の対象となります。

ですから、この法律後、医療機関のホームページはもちろんのこと、医療機関を紹介するポータルサイトの表現は、かなりおとなしくなりました。

弁護士広告でいうところの「相談実績〇〇件」などのキャッチコピーはほとんど使えなくなりました。

また医療機関が別の個人や法人を使って広告を行っていても対象となりますので、医療関係のアフィリエイトやステルスマーケティング等もかなり減りました。

そしてそれは美容医療だけでなく、医療機関の収益の柱の人間ドックの検索サイトやアフィリエイトにも大きく影響を与えました。

私見ですが、この「医療広告ガイドライン」と比較し弁護士広告の現状は、書籍や冊子を発行し集客するマーケティング手法、別会社を運営母体とするステルスマーケティング、ブロガーを活用したアフィリエイト、ユーチューバーを活用した案件広告、弁護士ポータルサイトの広告など、規制前の美容医療広告の状況とほぼ変わりないと思います。

正直なところ、現在の弁護士広告はやったもん勝ちの状態です。

では、具体的にダメな医療広告を見ていきましょう。




具体的にダメな医療広告表現例

・最高の医療の提供を約束!(比較表現で認められない)
・病人が回復して元気になる姿のイラスト(回復を保障すると誤認を与えるおそれがあり誇大広告)
・雑誌や新聞で紹介された旨の記載(自らの医療機関や勤務する医師等が新聞や雑誌等で紹介された旨は、広告可能な事項ではない)
・www.gannkieru.ne.jp 等のアドレス(ガン消える(gannkieru)とあり、癌が治癒することを暗示している)
・nolhospi@xxx.or.jp 等のメールアドレス(「nolhospi」の文字は、「No.1Hospital」を連想させ、比較優良広告に該当)
・死亡率、術後生存率等(対象となった患者の状態等による影響も大きく、適切な選択に資する情報であると評価されない)
・〇%の満足度(データの根拠を明確にしたとしても、限られた患者等を対象に実施された調査として、実質的に使われていない)
・肝臓がんの治療では、日本有数の実績を有する病院です。
・当院は県内一の医師数を誇ります。
・本グループは全国に展開し、最高の医療を広く国民に提供しております。
・芸能プロダクションと提携しています。
・著名人も当院で治療を受けております。
・知事の許可を取得した病院です!(「許可」を強調表示)
・医師数〇名(〇年〇月現在)(この表現は可能であるが随時更新する必要があり。面倒なので表記しない医院が多い)
・顔面の○○術1カ所○○円(表現は可能であるが、サイズや顔のどの部位、どんな施術など注釈が付されていたとしても、小さな文字の場合、注釈を見落とすものと常識的判断から認識できる場合には、誇大広告として扱われる)
・〇〇センター(〇〇センターが使用できる医療機関は厳密に調査されます。実質的に公的機関以外使わない)
・比較的安全な手術です(何と比較して安全であるか不明)
・こんな症状が出ていれば命に関わりますので、今すぐ受診ください
・○○手術は効果が高く、おすすめです。
・患者等の主観に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談(実質的にお客様の声は掲載できません)
・治療等の内容又は効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等(掲載は可能ですが、広告として検査されるので掲載している医院は少ないです)
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・○○治療し放題プラン

その他、手術の件数、患者の平均的な入院日数、在宅患者・外来患者・入院患者の数などに関しては、決められた計算方法で算出していれば掲載可能ですが、掲載に際しては厳しい条件があり、面倒なうえ、広告として実績をアピールできないので、ホームページに記載している医院は少ないです。

先にも書きましたが医療広告ガイドラインは、医療機関のホームページに限らず、医療機関を紹介しているポータルサイトにも当てはまりますし、ブロガーやユーチューバー、個人の方にも当てはまります。

この「医療広告ガイドライン」を弁護士広告に当てはめると、今は当たり前の「〇〇に強い弁護士」「トラブルが拡大する前に、今すぐ当法律事務所にご相談ください」「無料相談キャンペーン実施中」「相談実績〇〇件」「顧客満足度〇〇%」「お客様の声」「〇〇先生推薦の法律事務所」「〇〇テレビで出演中」「粘り強く交渉し〇〇円獲得」などのような表現はできなくなります。




医療広告ガイドライン後の業界

自由診療の美容医療やインプラントなどの広告では時々、ガイドラインに違反するのでは? という広告を見ることもありますが、医療広告ガイドラインはかなり守られている状況となっています。

その結果、医療機関を紹介して広告収入を得るビジネスモデルはやりずらくなり、ポータルサイトやアフィリエイターが減り、落ち着いてきました。

規制を強めればいいというものではないと思いますが、ステルスマーケティング的な手法や消費者を誤認させるような紛らわしい手法が多く使われている弁護士業界の広告は、もう少し規制してもよいのではないか、と個人的には感じています。

今回は「医療広告ガイドライン」を中心に「弁護士広告」を考えてみました。

弁護士費用は高額になります。

弁護士選びは慎重にお願いいたします。

この記事が少しでもあなたのお役に立てれば幸いです。

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