自己破産できるかどうかの条件のひとつに「支払不能」な状態であるかどうか。という条件があります。

ただ、支払不能と言われても具体的でないので、具体的にはどのような状態が支払不能なのか「支払不能の基準」調べてみました。

自己破産といっても個人と法人があります。今回の調査は個人の場合となります。

※この弁護士費用.comのサイトでは、個人の自己破産を自己破産、法人の自己破産を会社破産と区別して使っています。

支払不能の弁護士の表現

弁護士のホームページに支払不能が書かれているかを調査しました。
表現としては以下のように書かれていました。

・債務者に返済能力がなく、継続的に返済のめどが立たないと判断される客観的な状態
・現在の収入・財産によっては,将来借金を返済することが著しく困難である状況
・返済不能が客観的、継続的であること
・弁済能力の欠乏により,破産者が弁済期の到来した債務を,一般的かつ継続的に弁済することができないと判断される客観的状態
・いくら以上借金があれば自己破産できるというような明確な基準はありません
・債務者が支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期 にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態
・客観的に見て、借金を返済出来る収入や財産がないこと
・債務者が支払能力を欠くために,その債務のうち弁済期にあるものについて,一般的かつ継続的に弁済をすることができない客観的状態にあることをいいます(破産法2条11号)
・一般的・継続的に債務を支払えないこと
・いくら借金があれば「支払不能」といえるかは一概には言えません
・債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態
・債務者が全ての債務を返済するための収入や財産がない場合
・借金を支払えない状態

支払不能の具体的な基準

支払不能の目安が弁護士のホームページに具体的に記載されているかも調査しました。
具体的な目安は以下のように書かれていました。

・一般的には、債務の総額が年収の3分の1を超えていれば支払不能が認められやすい傾向にあります。
・一般的には,現在の借入総額を36(ヵ月)で割った金額が毎月の返済可能額を上回っている状態
・借金を3~5年程度で返済ができるかどうかと言われることがあります
・(毎月の収入-住宅費)÷3×36回(3年)< 負債総額 ・あくまで目安ですが、任意整理手続で、元金を3年かけて支払えるか支払えないかが1つの判断基準になると言われています。 ・支払期限のきている借り入れなどについて,おおむね3年程度で返済することができる状態かどうか ・目安としては手取月収の10倍を超える金額の債務があること ・借金の総額が、月々の収入から生活に必要な額を除いた額(毎月の返済原資)×36(又は48)を超えている場合

具体的な記載は6割

上記の通り、具体的な目安が記載されていた弁護士は6割程度でした。
自営業なのか給与所得者なのか、どの程度の収入があるのかなどで、自己破産できるかどうか判断されるというのはわかりますが、基準が記載されているとわかりやすいかなと思いました。

ただし基準が書かれていても年収とは手取り額? 毎月の返済可能額ってどう計算するの? と素人にはまだまだ難しい記載が多いように思いました。

支払不能の具体例

そこで、具体的な例で支払不能であるかどうかの判断を計算してみました。

年収240万円の例

年収240万円(月収20万円)、手取り193万円(月手取り16万円)、家賃6万円、その他生活費9万円と仮定します。
この場合、手取り16万円から家賃と生活費を引くと1万円が残りますので、返済可能額は1万円と仮定します。

・負債総額が年収の3分の1以上の場合:負債総額80万円以上
・返済可能額の36ヶ月以上の場合(元金を3年で返せるかどうか):負債総額36万円以上
・(毎月の収入-住宅費)÷3×36回の場合:負債総額120万円以上
・手取月収の10倍の場合:負債総額160万円以上

このように弁護士のホームページに書いてある支払不能の基準を用いて計算しても、負債総額36万円以上から160万円以上と幅があることがわかります。

ただはっきりしたのが、返済可能額の36ヶ月以上(元金を3年で返せるかどうか)が最も低くなると思われるということです。

ただし、36万円を年率18%の36回払いで借りた場合の毎月の返済額は13,014円ですので、生活費をあと3千円程度減らせば返せる額になります。
ですから、負債総額36万円程度では、このケースの場合、自己破産するのは難しいのではないかと思います。

また、ある弁護士のホームページでは、負債総額100万円程度では、任意整理で元金を5年払いにしてもらえれば月々の返済は1万7千円程度となるため、自己破産は難しいとも書いてありました。

このように手取り額と家族構成、生活費によって返済可能額は変わってきますのでケースバイケースですので、ホームページを見て自分は自己破産できるかどうかをあれこれ考えるより、弁護士に相談してみることをオススメします。

自己破産の弁護士相談は無料だと思いますので、お気軽に相談できると思います。

ただし、自己破産を依頼することとなった場合の弁護士費用は安くありませんので、自己破産の相談をする弁護士も慎重に選んでください。

自己破産の弁護士費用に関しては「自己破産の弁護士費用の相場(個人破産)」をご参照ください。

この情報が参考になれば幸いです。
弁護士費用は高額になります。
弁護士選びは慎重にお願いします。

最後までご覧いただきありがとうございました。

今後とも弁護士費用の専門サイト「弁護士費用.com」をよろしくお願いします。

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