弁護士が破産したらどうなるのか? と不思議に思ったので、調べてみました。
調べた項目は下記の5点です。
1.弁護士が破産すると弁護士資格は失うことになるのか?
2.資格を失ったら弁護士に復活することはできないのか?
3.弁護士がお客のお金を着服し返せなくなり破産したらどうなるのか?
4.弁護士に着服されたお客のお金はどうなるのか?
5.弁護士法人が破産した場合はどうなるのか?
1.弁護士が破産すると弁護士資格は失うことになるのか?
裁判所に破産を申立て、破産手続きの開始が決定されると、弁護士は弁護士資格を失います。
お金がない破産状態で、お客から着手金など多額のお金を預かったら、借金返済に使ったりして危ないと思いますので、弁護士資格を失うことは仕方がないかなと思います。
弁護士資格を失うとは、弁護士会の会員ではなくなるということです。
あとからも影響してきますが、この弁護士会の会員ではなくなるというのが意外と重要なポイントとなります。
2.資格を失ったら弁護士に復活することはできないのか?
破産手続きが終了し、免責許可が確定し復権すると、破産した弁護士は弁護士会への再登録を申請すれば、また弁護士会の会員となることができます。
つまり弁護士に戻れるということです。
ですから、破産手続き中は弁護士の資格は失うが、免責許可が確定し復権した後で、弁護士会に再登録できれば弁護士資格が復活するということになります。
ただし、お客のお金を着服して返せなくなり破産した場合はどうなるのかを、次で考えたいと思います。
3.弁護士がお客のお金を着服し返せなくなり破産したらどうなるのか?
弁護士は過払金や交通事故の賠償金など示談が成立したら、示談金などお客のお金を一時的に預かることがあります。
そういったお客の預り金を借金返済に流用し、お客に返すことができなくなり自己破産した場合、それでも自己破産手続きが終了し、免責許可が確定し復権したら、弁護士会に再登録できるのかを調べてみました。
確実なことはわかりませんでしたが、お客のお金を着服・横領した弁護士の再登録は難しく、弁護士への復帰は大変難しいようです。
お客のお金を着服した弁護士ですから、簡単に復帰されては困りますので、復帰が難しいというのは納得です。
ここまでをまとめますと、弁護士も破産することはありますが、お客に迷惑を掛けずに破産したのであれば、免責許可が確定し復権した後、弁護士会に再登録申請し再登録されれば弁護士に戻ることは可能です。
ただしお客のお金を横領し破産したのであれば、弁護士会への再登録は難しく、弁護士に戻ることは難しくなる。というのが、私が調べた結果となります。
次に、弁護士に着服されたお客のお金はどうなるのか? について調べてみました。
4.弁護士に着服されたお客のお金はどうなるのか?
結論から言いますと、元弁護士は破産してしまっているので、お金がない者からお金を回収することは難しいです。
じゃあ弁護士会が補償してくれるのか? ということになりますが、2017年10月から依頼者見舞金制度が始まりました。
弁護士に横領があり、その被害金額が30万円を超える場合、被害者1人当たり500万円の枠内、同じ弁護士に被害者が複数いる場合は、弁護士1人につき総額2,000万円の枠内まで見舞金を支給するというものです。
全額回収できることはないかもしれませんが、このような補償制度がもっと拡充すればよいと思いました。
詳しくは「日本弁護士連合会 依頼者見舞金制度」と検索していただくと調べることができます。
URL:https://www.nichibenren.or.jp/legal_advice/petition/mimaikin.html
横領する弁護士の被害者を増やさないためにも、示談が成立したのに弁護士からなかなか示談金が振り込まれないなどあった場合は、早めにその弁護士が所属している弁護士会に相談することをオススメします。
そういった苦情がたくさんくることで弁護士会でもその弁護士の経営状態が苦しいことがわかり、早めに手を打ってくれる可能性もあります。
5.弁護士法人が破産した場合はどうなるのか?
最後に弁護士法人が破産した場合にはどうなるのかを調べてみました。
弁護士法人の場合、会社と同じで法人が破産してしまうと、弁護士法人の財産を債権者で回収するということになるのですが、返せないから破産するので、法人からはわずかしか回収できなくなるようです。
ただし弁護士法人の社員弁護士(経営者層の弁護士)は無限責任を負うこととされているようですので、その弁護士にも弁護士法人の負債の返済義務が生じるということです。
ですから、弁護士法人で返せないなら社員弁護士が返さなければならないのですが、社員弁護士も返せないくらい負債が多ければ、結局、社員弁護士も破産し、3の弁護士がお客のお金を着服し返せなくなり破産したらどうなるのか? と同じ状況となります。
そして、示談金などお客の預り金を返せない場合は、結局は、依頼者見舞金制度の対象となり、4.弁護士に着服されたお客のお金はどうなるのか? と同じような処理になると思われます。
以上が私が調べた「弁護士が破産したらどうなるのか」の結果となります。
この情報が参考になれば幸いです。
弁護士費用は高額になります。
弁護士選びは慎重にお願いします。
最後までご覧いただきありがとうございました。
今後とも弁護士費用の専門サイト「弁護士費用.com」をよろしくお願いします。
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