弁護士の中にはできるだけ裁判をしないで事件を解決したいと考えている裁判をしない弁護士と、裁判外の交渉が有効でないと思える場合は積極的に裁判をして事件を解決したいと考えている裁判をする弁護士がいます。

絶対裁判をしない弁護士、必ず裁判をする弁護士と両極端な弁護士はいないと思いますが、ここでは、わかりやすく過払い金請求を例にその違いを説明します。

過払い金請求の場合

「過払い金請求」と言うのを聞いたことがあるかと思います。

過払い金請求とは、広告などでみたことはあると思いますが、借金返済時に払い過ぎた利息(過払い金)を返してもらうことです。

弁護士に依頼すると、どれぐらいの払い過ぎた利息(過払い金)があるのかを調べてくれて、消費者金融に過払い金を返してもらうように交渉してくれます。

この際に、裁判をしない弁護士と裁判をする弁護士を知らずに間違えて弁護士を選ぶと大きな失敗をすることになります。

裁判をしないメリットは、比較的早く過払い金を返金してもらえる点です。デメリットは満額の返金が難しい点です。

裁判をするメリットは、満額の返金が可能な点です。デメリットは返金までの期間が比較的長くなる点です。

より具体的に裁判をしない弁護士Aと裁判をする弁護士Bを例に解説します。

例えば、計算の結果、消費者金融に対し200万円の過払い金があることがわかったとします。

裁判をしない弁護士Aは、その結果を元に消費者金融と裁判をせずに交渉します。

消費者金融はできるだけ負担を少なくしたいため「満額の200万円の半額の100万円で和解してくれたら半年後には支払う」などと条件を出してきます。
弁護士Aが交渉した結果「満額の7割の140万円で和解してくれたら3ヶ月後に支払う」という条件まで引き出せたとします。

その結果、依頼者はその内容で和解し、過払い金140万円を返金してもらうことができました。弁護士が交渉を開始してから返金までの期間は3ヶ月でした。

一方、裁判をする弁護士Bは、結果が届いたら200万円と過払い金が発生した日から返金されない期間の過払金利息をプラスして裁判を起こします。
素直に裁判に対応する消費者金融もあれば、裁判を引き延ばす消費者金融もあります。決着まで何ヶ月かかるかわかりませんが、仮に裁判を起こして半年で決着し、200万円+過払い金利息が返金されたとします。

弁護士が裁判を起こしてから返金まで6ヶ月かかりました。

まとめると、裁判をしなり弁護士Aと裁判をする弁護士Bの違いは以下の通りとなりました。

裁判をしなり弁護士Aと裁判をする弁護士Bの違い

裁判をしない弁護士Aに依頼した場合:返金された過払い金140万円、返金までの期間3ヶ月。

裁判をする弁護士Bに依頼した場合:返金された過払い金200万円+過払い金利息、返金までの期間6ヶ月。

つまり、回収できる過払い金が少なくなっても早く解決してお金が欲しいという依頼者は裁判をしない弁護士Aに依頼した方がよいですし、回収までの期間は長くなっても裁判してでもできるだけ多くの過払い金を返金して欲しいという依頼者は、裁判をする弁護士Bを選んだ方がよいことになります。

裁判をするかしないかの弁護方針を確認する

例えば、あなたが返金されるまで何ヶ月かかってもいいから裁判をしてでも満額返してほしいとした場合、弁護方針を確認せずに、裁判をしない弁護士Aに依頼してしまったらどうなるでしょう。

弁護士Aはいつも通り消費者金融と交渉し、満額の7割の140万円の和解案を消費者金融から引き出すことができ、あなたに和解を勧めたとします。

しかしあなたは満額の200万円が欲しいと裁判をしない弁護士Aに裁判をして欲しいとお願いしたとします。

裁判をしない弁護士Aとしては、最初に裁判しなければ満額は無理だが早く解決できること、裁判をしないメリット・デメリットを説明し依頼されたのに、今さら裁判してほしいと言われても困ります。

そこで依頼される際に説明した通り、裁判をすると解決まで何ヶ月かかるかわからない、裁判期間中に消費者金融が破産したら回収できなくなる、裁判すると弁護士費用が高くなる、など裁判せずに和解した方がよいことを説明し和解を勧めます。

それでもあなたが裁判をして欲しいと弁護士Aに依頼したらどうなるでしょう。

弁護士Aが素直に裁判してくれるのであればよいのですが、裁判してくれない場合はややこしくなります。

そもそも裁判をしない弁護士Aは、裁判をしないで和解した場合のメリット・デメリットを説明し依頼を受けているのですから、今さら裁判してほしいと言われても困りますので、裁判を引き受けてくれないかもしれません。

ですから、裁判してでも満額欲しいという依頼者は、最初にきちんと弁護方針を確認しておかないと、あとあと面倒になり、弁護士選びで失敗することになります。

裁判しない弁護士と裁判する弁護士のまとめ

上記では過払い金を例に「裁判しない弁護士と裁判する弁護士」の違いを説明しましたが、これは交通事故被害者の賠償金増額交渉でも同じですし、民事事件、離婚、相続問題でも同じです。

あなたが強く裁判をしてでも事件の解決、結論を望むのであれば、その思いをきちんと伝え、それでも依頼を引き受けてくれる弁護士を選ぶのがよいかと思います。

ただし、あまりにも裁判に固執していると、面倒な依頼者だと思われ引き受けてくれる弁護士を探すのに苦労するかもしれません。

最後に私の個人的な考えですが、民事事件、離婚や相続は裁判をしなくても弁護士が介入することできれいにまとまることがありますし、裁判をすれば弁護士費用も高くなりますので、なにがなんでも裁判をしなければならないという訳でもないと思います。

しかしその一方で、裁判しなければ解決しない様な事案もありますので、裁判をしないでだらだらと交渉しているのもどうかと思います。

ケースバイケースですが、裁判した方がよいのか裁判しないで裁判外での交渉の方がよいのか弁護士によく相談し、あなたの方針もきちんと整理し、弁護士の弁護方針と照らし合わせ弁護士を選んだ方がよいかと思います。

弁護士を選ぶのはあたなです。あなたが弁護士を選ぶのですから、あなたが依頼しようとしている弁護士の弁護方針などもきちんと確認し、弁護士選びで失敗しないようにしてください。

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